原著はこちら。
名郷 直樹
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「週間医学界新聞」の連載「研修センター長日記」をまとめたものです。2003年地域医療研修センター設置当時の研修医教育の様子が描かれています。
当時の連載記事はこちらで公開されています。
週間医学界新聞
第2540号 2003年6月23日
名郷直樹の研修センター長日記1R
さらばU村,よろしくZ市編
名郷直樹(横須賀市立うわまち病院 臨床研修センター長)
「推薦の序」には五十嵐こどもクリニック(医療法人社団 実幸会、現在閉院)の故五十嵐正紘先生が書かれています。一部を引用させていただきます。
著書全体を通して、人の生涯や精子への著者の思いがにじみ出ている。小生が十余年を過ごした北海道東部の田舎町厚岸の診察室からは、朝に東にある厚岸湖と明けの空を真っ赤に焦がして大きな太陽が昇り、夕には西にある厚岸湾と暮の空を真っ赤に焦がして大きくなった太陽が沈むのを毎日見ながら、生と死は同じもののミラーイメージ、成長と老い、生と死がともに身を焦がして輝いているのを実感した。多くの子どもの成長を楽しみ、ことほぐのと同じように、老いと死も楽しみ、ことほぐことと自然に思えた。五十嵐先生の提唱した、「五十嵐の10の軸」は本書でも紹介されています。
総合医療の基本要素 自治医科大学地域医療学 前教授 五十嵐正紘編*10の項目から成っているため、『五十嵐の10の軸』と呼ばれています学習、研修に当たっては、以下10項目の知識、技能、態度を身につける(類似語:プライマリ・ケア、総合診療、包括医療、全人医療、家庭医療、地域医療)
総合医療の最も重要な基盤は、
1 近接性 無差別性:患者を選ばない問題を選ばない精神的:良好な医師患者関係時間的:時間外の初期救急を含め経済的:費用効果思考に基づく行動
2 日常性 日常問題、日常病単純な頻度でなく,頻度×重要度(重症度,影響度)の大きい順に
この基盤のもと以下の場で、そのニーズを反映して仕事をする。
3 全人 生物医学的:視点と並行して 心理的社会的 倫理的:視点からも思考と行動ができる
4 家庭 家庭を一診療単位とした思考と行動ができる
5 地域 地域を一診療単位とした思考と行動ができる 保健、医療、福祉を統合した地域医療を実践する
この基盤と場を背景にして、総合医療は次のことを実現する。
6 質の保証 quality of life(いきがい、自己実現)の維持向上を尺度とした医療,保健,福祉の質を保証する思考と行動ができる
7 個別性 個別の事情に応じた思考と行動ができる多くの選択肢を示しつつ、患者の自己決定の支援ができる
8 生態学的接近 多面的、学際的、有機的、総合的な思考と行動ができる
これらを実現するために、以下の役割と責任が必要である。あれから10年。 原点をふりかえりながら、前へ進んでいきたいと思います。
9 役割 患者の道案内役、弁護士役患者や医療関係者の調整役、聴き役、説明役、連絡役を担う思考と行動ができる
10 責任 継続性(当面の問題の継続性,生涯にわたる継続性)責任性(主治医としての)民主性(患者との対等な関係)を実現する思考と行動ができる
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