2010年のドクターベイズ開発当初から、日本を代表する診療支援システムとして関心を寄せていた「病名思い出しツール」。
ウェブ版は公開されています。
ウェブ版・新病名思い出しツール
症状などを入力すると、可能性のある病名をリストアップしてくれるという、便利なツールです。
どのように作られているのかぜひ一度うかがってみたいと思っていましたが、遂にその念願のチャンスが訪れました。
簡単に報告します。
開院30年を迎えた医院
制作されているのは、鳥越医院の院長 鳥越 恵治郎先生。医院は岡山県井原市にあります。現在、井原医師会長もつとめておられます。
鳥越医院は開院30年という歴史ある医院でした。ホームページ「当院の特徴」には、「普通に自然に診ています。特徴は何もないというのが特徴です。」とあります。
しかし、実際には他のクリニックにはない、画期的な取り組みをされています。
「病名思い出しツール」の制作は、これまで鳥越先生がひとりでコツコツと作業されてきたそうです。
内科の代表的な教科書はもちろん、最新論文や学会の症例報告など、症例を目にするたびに確認し、新たな病名があれば追加登録する、という繰り返し。まるで辞書を編纂されているかのようです。
何と、いまだに更新されているそうです。
パソコンの脇には、今月号の雑誌が。明日、作業されるとのことでした。
―大変ではないですか?
鳥越先生 「制作は道楽みたいなものですよ。」
毎週毎週、症例を見るたびに確認しないではいられない、仕事や習慣ではなく道楽の境地。こうでなければ、なかなか続けられないことです。
病名は500くらい知っていれば十分
ツールに登録された病名は2200にもなっているそうです。検索すると、聞いたこともない珍しい病気も含まれています。調べるたびに、いままでこんな診断したことない、と憂鬱になることも。
― 珍しい病気もたくさんありますよね?
鳥越先生 「医者はたいだい200くらいの病名しか使っていないことがわかっています。めったに診断しなくても、見逃してはいけない病気や鑑別診断を含めて、500も知っていれば十分でしょう。」
鳥越先生も実際の診療で活用されているそうです。珍しい病気は、ほとんどありません、とのことでした。
なんだか、それを聞いて少しほっとしました。
他にも、検査データを自動で判断するツールなど、関連アプリケーションを多数制作されていました。
どれも最終的には病名思い出しに連携しており、これまでの自動解析ソフトにはできない大きな特徴となっています。
井原医師会のホームページには、詳細な情報が掲載されています。
井原医師会 コンピュータ診断支援
こういったツールが普及すると、日本の診療が変わるかもしれない、と再認識いたしました。
これからもぜひ、更新作業をつづけていっていただきたいと、切に願っております。
突然の依頼にも関わらず訪問を快諾され、あたたかく迎えていただいたばかりか、駅までの送迎までしてくださり、大変感謝しております。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
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